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椿説弓探求  其三 試奏編

2009.08.20 00:01  レッスンの周辺

(ここからは第27回目のレッスンになります・・・長文失礼)

 ご挨拶もそこそこに借りてきた弓をお見せします。「弾いてみました?」と師匠がお尋ねになるので、かくかくしかじかで、とお話しすると、ちょっと呆れた顔をされて「えー、それじゃ、これみんな楽器屋さんが選んだの?音聴いてないの・・・」

 「あの、昨日の夜Pさん(=楽器屋さん)が自分て弾いて選んでくれたそうです。昨日ならヒマだったので呼んでくれればよかったのですけど。」と申し上げると、「Pさん、人前では絶対に弾かないんだから。」「え、でもいつも行くとチェロの練習してますよ。結構お上手ですよ。」と言うと、ご自身がチェロのレッスンで随分苦労されている(?)師匠は苦笑い。

 それから、値段について。ケースに並んだ弓はフロッグの裏側に品名と値段を書いたシールが貼ってあります。その値段をみた師匠が一言。「あの、予算決めておかないと上をみるときりがないですよ。一応価格順に並んでるみたいだけど、ばらばらじゃない。」

 しかも肝心のギヨームには値段は書いてありません。すし屋ではありませんが、「時価」に近いです。まあ、こういう風にいい加減に持ち込む生徒も他にはいないでしょうから、師匠のご心配もごもっともなわけです。

 と言うわけで、例によっていきなり前途多難が予想されますが、気を取り直して早速試奏です。

 「6本もあるから、まずはダメなやつをはずしましょう。とりあえず一本づつゆっくりスケール弾いて見て、それで感想を教えてください。」というわけで、順番にト長調のスケールを2オクターブ上がって下がってと二往復ゆっくり弾きます。

 同じ弓でもこんなに音が違うのか!と思うほど弾き心地も音の響きも違います。たかが棒切れに馬の尻尾の毛を張っただけですが、いざヴァイオリンを弾いてみると雲泥の差があります。ただし、どの弓もそこそこのものですから、さすがにいきなり「これはちょっと」と思えるようなものはありませんでした。

 最初に脱落したのは・・・ドイツの弓。「ちょっとこもった音がしますねぇ。少し重い感じもしますし。」

 その次に落としたのは、一番安いブラジルの弓。実は、この弓から弾き始めたのでそのときは悪くはない感触だったのですが、ほかの弓と比べるとやはり響きが弱い。

 残り4本は結構混戦になりました。それぞれ弾き心地や音色も違うのですが、この段階でこれがベスト、とは言い切れないものがあります。

 「じゃあ、このあたりで曲を弾きましょうか。最近一番大変だった曲、どれでしたっけ?」と師匠。「えっと、一番てこずったのはミニヨンのガヴォットですかね。」ということで久しぶりにおずおずと弾き始めます。

ミニヨン2  スタッカートでは、さすがに毛がくたびれた私の安物の弓とは違ってどの弓でも小気味良く切れます。例の難関の、転調した後でD線のファをアップの弓でスタッカートで弾いた後、ファシ♭とスラーでつながるところ。これ、相当苦労しましたが、うそのようにきれいに弾けます。なんだ随分上達したじゃない、というよりもむしろ弓のバランスがいいんですね。

 つぎ、リュリのガボット。これも例のD線とG線の移弦のところを中心に弾いていきます。まだ、落とす一本が決まりません。

 とうとうベートーヴェンのメヌエット。なんだ、鈴木2巻後半の総復習みたいになってしまいました。こうなるのだったら、もっと練習しておくのだった、と思っても後の祭りです。ベートーヴェンの出だしのところ(しーど、れーど、れーどれーど、れ)を弾くと、Arcosのうち一本がかすかに弾きにくい。横で聞いている師匠も「うん、これは落ちますね」

 ということでようやく半分の3本になりました。

 残り3本の決戦の模様は・・・

さて、次はメヌエットの後半、トリオのところの移弦+スタッカートで比較です。ついでにパガニーニの妖精の踊り。これでやってみると、わずかに弓が重くって音の抜けが悪かったフランスが脱落しました。

 ここで、「さっきのArcos、もう一度弾きましょうか。」ということで同じグレードのArcos2本で弾き比べ。微妙な差ですが、やはりさっき落とした弓の方が落ちます。わずかな差ですが弓自体のバランスが微妙に違います。

 残りはブラジルのArcosとギヨームです。なんだ結局師弟対決じゃないですか。この2本をもう一度とっかえひっかえ弾いてみます。

 正直な感想はArcosは非常にバランスもよくコントロールしやすいので弾きやすく、音もきれいに響きます。ただし、やや腰が弱い感じ。そう、ちょうど以前ゴセックのガボットの仕上げに弾かせていただいた別の生徒さんが検討されていた弓(確かAry-Franceだった)と感触が似ています。とても使いやすく、急に上手くなったような錯覚を覚えます。

 対するギヨームは弾き始めにかすかに粘る感じがしてかなり力強い弓です。ただ、Arcosとは音の響きが断然違う。これ、横で聞いている師匠も「うーん」とうなっています。

 「プロなら離れたところで聴く音が一番だけど、自分で楽しむ場合は自分が聞く音がきれいな方を選ぶ、という手もありますよ。ただ、これ、2本ともほとんど新品だし、もう少し慣れてくるとどうなるか・・・」

 とうとう師匠が「ちょっと貸して」と私のヴァイオリンを取り上げました。1ポジからハイポジションまでさらっと何度かスケールを弾き、いろんなテクニックを試しています。おお、このヴァイオリン、こんないい音がするんだ(笑)。

 しばらくして「ちょっと弾いていて」と師匠がおっしゃって、部屋を出て行かれました。戻ってくると手には楽譜が・・・パガニーニのカプリスです。

 さらっと私のヴァイオリンに弓を走らせて、聞こえてきたのは第24番の冒頭。て、師匠、一応楽譜開いてはいますが、私の方を向いて、つまり譜面台に背を向けて弾いています(笑)。

 「ちょっと雑音がしますねぇ・・・」と独り言のようにおっしゃっておもむろに肩当をはずされます。どうするのか見ていると、ご自分のヴァイオリンに肩当をつけてもう一度同じカプリス24番。

 ああ、いい響きだ。全曲聴いてみたい。と思いつつも、響きの違いに耳をすませます。離れて聞く二つ弓の音色の差はややちぢまっていますが、やはり響きは断然ギヨームが上です。

 いきなり師匠が「これで、さっきの『妖精の踊り』弾いて見て。」とヴァイオリンを渡してくださいました。これまで弾かせてもらえなかった師匠の愛器です。例の楽器屋さんによれば「結構いい楽器ですよ。音もいいでしょ。」とのこと。

 構えてみると指板の各指のポジションのところが白く光っています。

 最初はちょっとおずおず弾いていましたが、思いっきり弾いてみるときれいな音です。ただし、もちろんテープも貼っていないので音程に注意するあまり、曲がめちゃくちゃになりました。でもこういうときって師匠、何も言わないんですね。一度だけ調弦の時のように、もうちょっと音程下げて、と指で合図されます。ひたすら音に集中しています。

Witchesdance1.jpg
 Arcosの弓はとても滑らかで弾きやすく、スムーズです。ギヨームはE線の出だし、弾き始めにかすかに引っかかる感じがして、なんども弾き始めをためらってしまいました。ただ、ベートーヴェンのメヌエットのようにゆったりしたパッセージでのパフォーマンスはギヨームが上。Arcos の方は逆に弓が滑る感じがしました。音は・・・近くで聞いてもギヨームの方が音にのびがあるように思いました。

 ひとしきり弾いたところで師匠にヴァイオリンをお返しして「どうでしたか。師匠ならどちらをえらびますか」とお尋ねしたら、「確かに弾きやすいのはArcosかもしれない。ギヨームは早いパッセージになるとちょっと力が要る感じがする。でも慣れの問題も大きいと思うのでそれは決定的ではない。音の伸びはギヨームかなあ。いい音ですね。まあどちらを選んでも後悔しないと思うけど・・・」という具合です。

 「気になるのなら、もう一本Arcosのおなじグレードのもの探してきて比べてみるというのもありかも。何も今決めなくてもいいんじゃない。」と、師匠。でも、毎週弾き比べをやっていても悩むばかりだと思うんですけど。

 結局、師匠からは決定的にこっち、というご意見は聞けませんでした。決して押し付けない師匠らしいといえば師匠らしいですが、どうも師匠はArcosよりギヨームの方が気になったようです。

 ともあれ、とりあえず今日の弓比べはここでおしまいになりました。

(弓選びはつづく・・・)

関連記事:
駒から出た弓 (2009.08.07)
椿説弓探求 其一 (2009.08.14)
椿説弓探求 其二 (2009.08.18)
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| | 2009.08.21 00:39

弓選び

私は今現在、1本しか弓を持っていないうえに、ネットで買ったので(!)弾き比べって、したことが無いんですよ。
これまでレッスンした曲で試奏したら、弾きにくい箇所が把握できてるから、弓の性能が比べやすいんですね。

弓はいずれもう1本欲しいな~

で、やっぱり自分のバイオリンを師匠が弾くと、別物のような音が出ますよね。

キキ | URL | 2009.08.21 01:38 | 編集

Re: 弓選び

キキさん
一本あれば十分だと思いますが、なんとなく2本くらいはあってもいいかな、と思っています。

> これまでレッスンした曲で試奏したら、弾きにくい箇所が把握できてるから、弓の性能が比べやすいんですね。
 
 いきなりこれまでの課題曲を順番に弾いていったので練習していないのがバレバレで困りました(笑)

> で、やっぱり自分のバイオリンを師匠が弾くと、別物のような音が出ますよね。

 そうなんです。とても不思議です。綺麗な音を出すため「だけ」のレッスンがあってもいいかも知れません。でもそこが一番難しいのでしょうね。
 

credenza | URL | 2009.08.21 23:07

こんばんは

すごく内容の濃いレッスンだったのですね。

・弓選び
・2巻復習
・先生のカプリス
・先生のバイオリンで演奏
これら一つ一つで記事になりそうです。

私は5月に毛換えをしました。それだけでも
楽器を新しく変えたのかと思う位音が変わり、
弾きやすくなったのですが

credannzaさんが試されている弓はそれ以上の
感覚なんですね。

ミニヨンのガボットのアップスタッカート&スラー、 
ここが弾き易くなるんですか~
実は今日のレッスンでこの箇所の特訓を受けて
きたところです。
弓への思いがますます強くなってきました。

それとcredenzaさん、先生のバイオリン
弾いてしまったのですね(先生のバイオリンも気になります)
そんなことされたら弓だけではすまなくなる
のではないですか

以前バイオリン展示会に行った時、施奏は ぐっと
我慢しました。
弾いてしまえば最後、払えもしないローンを組んでいる
自分を想像できましたから・・・・

弓選びのその後、師弟対決がどうなるのか
たのしみです~

ゆこべえ | URL | 2009.08.21 23:25

Re: こんばんは

ゆこべえさん

 実はレッスンはこのあと別途やったのです・・・

> 私は5月に毛換えをしました。それだけでも
> 楽器を新しく変えたのかと思う位音が変わり、
> 弾きやすくなったのですが

 やっぱり変りますよね。私の弓はスタッカートを弾くのにも3~5センチも弓を動かさないとダメだったので、もう限界かと思いました。

> ミニヨンのガボットのアップスタッカート&スラー、 
> ここが弾き易くなるんですか~
> 実は今日のレッスンでこの箇所の特訓を受けてきたところです。

 もともとひどい弓を使っていたので、結構苦労しました。毛替えをされたのなら、そこそこ大丈夫だと思うのですが・・・この部分意外と難しいですよね。

> それとcredenzaさん、先生のバイオリン
> 弾いてしまったのですね(先生のバイオリンも気になります)
> そんなことされたら弓だけではすまなくなるのではないですか

 かなりいい楽器でしたよ。鳴り方が違いました。確かに次は楽器が欲しくなりますね(笑)

> 弓選びのその後、師弟対決がどうなるのか
> たのしみです~

 もう一息のところですので乞ご期待!

credenza | URL | 2009.08.22 00:40

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